【1995/01/04=光デパート】先日幕張メッセにおいて「国際暗号見本市」が開催され、日頃から情報のセキュリティ管理に頭を悩ませる各企業担当者で会場は盛況となった。
なかでも会場内の「音声変換ブース」は、携帯電話の普及に伴う盗聴防止技術への期待の高まりから展示側のデモンストレーションに熱心に耳をかたむける人でごったがえした。特に注目を集めた新栄工業の「虎造」は、携帯電話の送信部および受信部にコーダ/デコーダを装着することで、通常の会話を虎造の浪曲に変換するハイテク商品。受話器から聞こえる何の変哲もない「森の石松」の一節が、アダプタを装着したとたん「イオン交換樹脂透過性の電圧依存」についての会話に変換されるのを聞き、会場からは思わずため息が漏れた。
新栄工業ではこの商品のシリーズ化を計画しており、今後「市川団十郎の歌舞伎十八番」「天上桟敷&夢の遊眠社リミックス」等のコーダ/デコーダを順次発売する予定。この商品が普及することで、盗聴を試みる不届きな輩は団十郎の唸り声や野田秀樹の甲高い声に悩まされることになるだろう。
NTTからは次世代デジタル暗号化技術の切り札と目される「ミュー」が参考出品された。飼い猫を受信アダプタに縛りつけその脳波をデコーダキーとして用いる「ミュー」は高い機密性が期待できる反面、変換元データに「煮干し」等の単語が存在すると変換ロジックがループする欠陥を抱えており、今後いかに猫の雑念を排除するかが実用化にむけてのの課題となりそうだ。
【1995/01/08=光デパート】一流建築家の設計で我が家を建てたい...そのような夢をかなえる新技術が通産省工業技術院において開発され、近く実用化されそうだ。
この夢の技術は「建築設計サンプリング」とよばれ、先進のCAD技術とAIを用い過去に蓄積された有名建築家のデータベースからコンピューターがお好みの建築設計をはじき出す画期的なもの。この技術を用いると、現存しない建築家、例えばフランク ・ロイド・ライト設計の茶室を建築することも可能だ。
建築設計サンプリング技術は建築業以外での応用も注目されている。大手玩具メーカーのタカラではこの技術を駆使し「ガウディ調リカちゃんハウス」を制作、消費者テストにおいても好評なため商品化を急いでいる。タカラでは有名建築リカちゃんハウスシリーズとして今後「日光東照宮陽明門ハウス」等をリリースしていく予定。
この画期的な建築設計サンプリング技術だが、実用化にはまだ改善の余地がありそうだ。丹下健三風の犬小屋を注文した豊島区のAさんは大理石の荘厳な出来ばえに満足していたが、愛犬が居心地悪そうな仕種をみせることから不審に思い内部を調べると人の顔のような異様な突起物が複数露出していた。後の調査で、丹下健三のデータベース中に蓄積されていた国連大学のデータに、隣接する青山子供の城の岡本太郎データが20パーセント混入したことが原因であると判明した。もっとも、Aさん自身は建築設計の新しい可能性を体現しているとして、この丹下健三と岡本太郎のハイブリッド作品をいたく気に入っているようだ。
【1996/04/24=光デパート】「劣悪な労働条件、雇用側の都合による一方的解雇、低賃金..我々はもう我慢ができない」。このほど、全国のマスコットキャラクターが労働環境の改善にむけ全日本キャラクター労働組合(全キ労)を旗揚げ、今後組合として雇用者と団体交渉を行うことを宣言した。
組合結成のきっかけとなったのは、製菓会社のマスコットキャラクター「カールおじさん」がリストラを理由に一方的に解雇された件。組合の広報担当グリーンジャイアントは、「長年カール一筋に身を粉にして働いてきたおじさんに、一方的解雇は酷すぎるホゥホゥホゥ。中高年の再就職活動に世間の風は冷たいホゥ。川久保玲のファッションモデルに、との話もあったが、長年田舎暮らしのおじさ にミラノの水はあわないホゥホゥホゥ」と、マスコットキャラクターが抱える雇用状況への不安を訴える。
また、劣悪な労働環境に関するマスコットキャラクターたちの不満も頂点に達している。
組合書記のてっちゃん(かねてつ所属)は、「動燃のキャラクター、プルトン君は二次冷却水の安全性をアピールするため、広報ビデオの中で二次冷却水を飲まされた。企業側は我々の命を何だとおもっているのか」と机にかまぼこ板を叩きつけ怒りをあらわにする。
てっちゃんはさらに、「とくに食品会社系のマスコットキャラの扱いはひどい。リボンちゃんはリボンシトロンばかり飲み続け肌までが黄色になった。たまにはプラッシーやファンタを飲みたいといいながら細々と営業を続けている。私だって練り物ばかりじゃなくビフテキをほおばりたい」と、シガレットケースからとりだした細身の竹輪を口に加えながら切々と訴えた。
全キ労は闘争力強化のために組合員へのオルグ活動を積極的にすすめており、感化されたキャラクターの一部は既にサボタージュ活動を開始している。東京電力のキャラクター「でんこ」は、従来の言動を翻し、消費電力の増大を意図 したキャンペーンを自主的に展開。「ジャン!電気を無駄使いしてね」の一言に、関東地方の消費電力は前年比5パーセントの伸びをみせ、「このままだと夏の消費電力ピーク時までに原発をもう一基追加建設する必要がある」と関係者をやきもきさせている。
また、呉羽化学のキャラクター「キチントさん」がキチントしなくなったことの社会的影響も大きい。キチントさんがキチントしなくなったことで、将来的に推定700万世帯の主婦がキチントしなくなることが懸念されている。
【1996/09/10=光デパート】文部省は深刻化するいじめ問題に本格的に対処すべく、外務省を通じイギリス政府に協力を要請していたが、このほど両国高級事務次官レベルにおいて合意が成立、今秋からいじめ鎮圧のためイギリス陸軍特殊空挺部隊を投入することが決定した。
イギリス陸軍特殊空挺部隊(以下SAS)は、自他ともに認める世界最強の特殊部隊にして最高のカウンターテロ組織。SASはフォークランド戦争や湾岸戦争において敵後方攪乱、情報収拾、破壊工作により大局を左右する役割を果たし、1980年のイラン大使館人質事件解決やIRA対策により、イスラエルのモサドと並び称される対テロ組織の地位を確立した。
今回文部省がSASに注目した理由は、その戦闘形式にある。後方支援や補給にたよらず、時には武器までも自作し100パーセントの戦果を上げるSASは、学校という閉鎖的環境で発生するいじめというゲリラ戦の鎮圧に最適と判断したからだ。
今回日本のいじめ対策に投入された部隊は、マードック大尉率いる一個中隊16名。人数こそ少ないが、湾岸戦争においては開戦と同時に敵内部数百キロに潜入し、戦闘用特殊車両4台でイラク空軍基地を壊滅、その後アメリカ空軍と協力しスカッドミサイル18基を破壊した精鋭中の精鋭だ。
メージャー首相から直々に命をうけたマードック以下16名は時をうつさずして行動を開始、いじめっ子たちにその行動をさとられぬため上空一万メ−トルから各自50キロの装備とともに神奈川県丹沢山中にパラシュ−ト降下、その夜の内に30キロを行軍し、最初の戦場である藤沢市立青雲中学校に到着した。
青雲中学校はいじめ問題が最も深刻化している学校。すでにいじめによる自殺者は5名を数えており、神奈川県教育委員会および文部省は頭を痛めている。
青雲中学校に到着したSASは早速2個小隊8名を監視に張りつけ、いじめっ子グループの情報把握に努める。大胆かつ繊細なことで知られるSASのストーキング技術はここでもいかんなく発揮され、ある隊員はとび箱の中に潜み、またある隊員は購買のやきそばパンに変装し、いじめっ子グル−プの全貌をはぎとってゆく。「最も大胆な者こそが勝利を掴む」「現地のあらゆる資源を駆使して戦う」マラオの密林でオマーンの砂漠でたたき上げられたSASの戦略はここでも明快だ。
SAS隊員からポケベルに送信される情報により、到着後わずか1日半でいじめっ子グループの全貌が明らかとなる。このポケベルもまた、生徒から没収され生活指導担当の羽山教諭の机に保管されていたものを、SAS隊員が密かに拝借したものだ。無論、羽山教諭に悟られることはない。
マードック大尉は寄せられた情報をもとに戦略を立案、到着3日目の朝、ポケベルの暗号を合図に、いじめっ子グループ掃討作戦が開始された。
「33417(さみしいな)」「10114(あいたいよ)」一般のポケベルメッセージに偽装された暗号を合図に、配置についたSAS隊員達は行動を開始する。各隊員によっていじめっ子達の自宅の門前に仕掛けられた対人跳躍犬糞地雷により、作戦開始5分後には早くも総勢10名中5名が行動不能となった。
第一のトラップをくぐりぬけた5名に対し、煥発をいれず一般観光客を装ったSAS隊員が道をたずねる。日本人の子供の、外人に対する苦手意識を利用した心理戦だ。
学校に到着するころには、戦闘可能ないじめっ子の数は2名に減るが、攻撃の手が緩められることはない。首謀格の少年Aは、まだ血気盛んだ。
いじめっ子達は席に着き授業をうけるが、ノートをとろうとしてもなかなか字が書けない。全てのシャープペンに対し、事前に破壊工作が施されているからだ。
SAS隊員のほとんどは爆破のスペシャリストだ。シャープペンの中に精巧に仕掛けられた成形火薬により、芯は1.5センチ毎に寸断され、もっともイライラする長さに揃えられる。一文字書くごとに芯を吐きださねばならない、いじめっ子達の心理的ダメージは大きい。
そして椅子に仕掛けられた超小型ブーブー爆弾により、首謀格の少年Aは、「おなら男」として学校中の笑い物となる運命をたどるのだ。
SASはわずか3日で作戦を終了し、学校中の誰にも気づかれることなく戦線を離脱した。だが、SASが去ってもいじめっ子達に安息の日々が訪れることはない。
イギリス/ヘリフォード。SASの対革命戦組織(CRWウィング)訓練機関において、いじめられる側の子供たちがカウンターテロ訓練をうけている。子供たちは、一撃で相手に致命的ダメージを与える悪口、効果的な不幸の手紙の書き方について猛特訓を続けている。彼等の成長によって、日本の学校からいじめが駆逐される日は、早晩おとずれるであろう。
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【1996/10/20=光デパート】 自治省および選挙管理委員会は、低迷する投票率に歯止めをかけるため、マンガを媒体として子供への有権者教育を徹底する方針を固めた。
7月より「コロコロコミック」紙上にて連載されている「炎の投票者ケンタ」はその第一弾。「まずは投票自体がカッコいいことを印象づける」(自治省担当者談)ことを目的としたこのマンガは、首相によって特別に任命された熱血小学生投票者ケンタが主人公。一票の軽さを嘆く大人たちを尻目に、秘技「スーパーファイアー投票」で低迷する支持政党「熱血党」を比例区第一党に押し上げ、「電撃トルネード不信任投票」で悪の最高裁判所判事を辞職に追い込む。
女の子むけには、「なかよし」において「美少女有権者ボートビューティーズ」が連載開始予定。都内ミッション系中学校に通う中野まりもは、勉強は苦手だが元気で有権者意識の強い女の子。いざというときには美少女有権者ボートビューティに変身し、選挙違反者や無投票者におしおきだ。
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