手練のギャグテキストワーカー。いかな短い文書であっても、決して手をぬかず鋭い 切り口で読む者の横隔膜を震わせる。 個人的に言わせていただければ、FCOMEDY随一、いや、NIFTY全体を見渡しても これほど質の高いお笑いテキストを書ける人間はそうはいないのでは。 今回の作品はややトラッド寄りだが、FCOMEDYでは地口から異次元ボケまで 縦横無尽にこなす。近々WEB界に登場の噂あり。剋目して待て! (ただし十分に堪能するためには若干のオタクマインド必要。たぶん)。 街角
マンションの一室
とある街角
倉庫街
○街角(昼)    電話ボックスが立っている。    歩いて来た若い女(秘書風)、ボックスに入るとカードを入れて    電話をかける。焦っている様子だ。    数回の呼び出し音の後、電話がつながる。 電話の声 「5、4、3、2、1」    女、驚愕 電話の声 「ゼロ」    電話ボックスの天井が開いて女が受話器を手にICBMの如く上昇していく。    女、上昇しながら苦虫を噛みつぶしたような顔でつぶやく。 女    「だから日本って嫌いよ」 ○マンションの一室(深夜)     男、ベッドでうなされている。    はっ、と目を覚すとベッドの傍らにに血まみれの髪を振り乱した女性が    浮いている。よく見ると体は半透明だ。形相は苦しみに歪んでいる。    男、ガバと飛び起きる!。そしてしばし、女性を見つめる。    男、やがて、起き上がって女性の首筋をおもむろにつかむとすたすたと窓まで    引きずっていき、窓を開け女性を外に放り出す。    男、窓を閉めるとすまなそうに言う。 男   「ごめん、うちのマンション浮遊霊禁止なんだ」 ○とある街角(昼)     繁華街。遠くに高層ビル街が見える。    男、歩道に歩いていて足元に何か落ちているのに気づく。    見ると500円玉のようだ。    男、拾い上げようとするが道路にはり付いたように取れない。    男、渾身の力を込めて500円玉を道路からひきはがす。    男、会心の笑み。しかし、ひきはがしたのは500円玉のようだが、    「ひみつの装置」と刻まれているただの円盤だ。    その時背後で大音響。    振り返ると遠くの高層ビル街がガラガラと崩壊を始めている。    周囲の通行人がざわめく中、男はつぶやく。 男   「ちぇ、牛丼でも食えるかなと思ったのにな」 ○夜、倉庫街  男、日本刀を抜きはなった極道に囲まれている。 極道A「おんしも、これでおわりじゃけん覚悟しいや」  男、余裕の笑み。 男「俺は不死身になったんだよ。やってみな。」  極道、怒気を顔に露にして 極道「いったれやぁぁぁぁぁ!」  極道、刀を振る。男の首がすぽん!とはじけとぶ。しかし切り口が膨れ上がった  かと思うと、首がもう一度生える。男、また笑って 男「だからいったろ?不死身だって」  極道、たじろぎながらもまた刀をかまえる。 極道「こ、こんばけもんがぁぁぁ」  振るった刀は男の右腕を二の腕から切り飛ばす。 男「むだだっていってるだろ」  また、腕の切り口が膨れ上がり、腕が生えて.....くるかと思うと頭が生えてくる。 男「え」 極道「お」  ちょっと間。極道、男に近寄って左腕を、すぱん、と切る。むくむくと左腕から  生えてくる頭。男、三つの首で愛想笑いをして 男「......キングギドラっ」  極道、無視して 極道「おおいこいつおもしれえぞ」   (時間経過)  倉庫街にさびしく転がる、男の首の塊。すべての顔から涙を流しながら 男「しくしくしくしくしくしくしくしく」
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