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第三回嘘競演
御題 アンギラス
開催期間 1997/7/1--7/7
主催議長 御御
*下記作品は著者の許可を得て転載するものです。
*未収録の作品で転載を許可くださる方は、ghc00262@nifty.comまで連絡お願いいたします
だんつな 痛快剣豪小説「秘剣 闇斬らす」
97/07/01 18:41
痛快剣豪小説「秘剣 闇斬らす」
満月の下,一面のススキ生い茂る野原に,老人と青年が対峙していた
「これより神天流奥伝伝授の儀をとりおこなう」
厳かに声を発したその老人は剣聖と謳われる,葉隠一刀斎.
「は…」そうつぶやいた青年は,凄惨さすら漂う面もちで老人を見つめる.
青年の名は島津馬之助.5年前,親の仇を討つため一刀斎門下に弟子入りし,
入門してわずか3年で強者揃いの神天流の師範になったほどの俊英である.
一刀斎は,低い声で続ける.
「神天流奥伝,秘剣あんぎらす.”あん”には”闇”を当て,闇斬らすと書く
流派の秘を守るため全ては口伝であり,どの様な字を当てるのか知るのは
わずかの皆伝者のみだ」
秘剣闇斬らす…馬之助は「極めし者,一人当千に値う」と恐れられる
神天流の蘊奥に触れるこの日を待ち望んでいた.が,しかし
「よいか,この奥伝の要諦は,”以闇可瞑”.即ち,闇ヲ以ッテ瞑スベシ.
剣を以て,敵を倒すのではなく,闇を以て敵を倒すことに…」
そのように一刀斎が語るのを聞いて,馬之助は心中落胆した…
世の秘剣,奥義などは流派拡大のための看板であって,
その実は禅問答まがいの精神論に過ぎない事が多い.
剣聖と謳われる葉隠一刀斎とてもそれは同じ事であったか…と
僅かに曇った馬之助の顔を見て,一刀斎は語る.
「どうした馬之助.奥伝を眼前にして臆したか?」
馬之助は吼える.
「先生!馬之助は強くなりたいのでございます!無念に倒れた父のためにも!
その様な禅問答,我が仇討のために何の役にも立ちませぬ!
我が仇敵を倒すためにも…」
「馬之助よ,此は坊主の言葉遊びなどではない,
事実.この秘剣を会得すればお主がこのワシを倒すことすら可能だ…」
「なればこそ,是非その秘剣を…!!」
「そう焦るな,馬之助よ…
秘剣などとは言うても,実はまだ何も考えておらぬのだ」
「はっ!?」
「これぞ秘剣”案,切らす”…なんちゃって.」
…………… 寒い ……… 寒すぎる ………
だが,馬之助の脳髄は瞬時に白熱した!
何が”案切らす”だ!
下らぬ!下らぬ!下らぬ!下らぬ!駄洒落にも程がある!!
しかも,「なんちゃって」だと!?
それは,剣聖たるものの口にして良い言葉ではない!
この時代ではなおさらだ!
白熱した怒りが馬之助の全身を満たす!
…刹那の間…
馬之助は返り血を浴びていた.剣聖葉隠一刀斎の血を.
そして,馬之助は己の足下に横たわる深手を負った一刀斎を見て,
己の所業を認識し愕然とした.
師匠たる,一刀斎を斬ったことに…
そして,天下無双を誇った剣聖を一刀のもとに斬り捨てたことに…
「馬之助…秘剣”闇切らす”…よくぞ会得した…」
一刀斎は必死で声を絞り出す.
「今のが…秘剣…闇斬らす…?」
馬之助は呆然とつぶやくのみ.
「お主のように心優しい人間では,如何に技を極めようとも.
人を斬るとき迷いが生ずる…それでは,殺人剣を極めることはかなわぬ…
迷いを捨てるには,純粋な怒りが…心の闇が必要だ…
お主がワシを斬れたのは,お主の駄洒落を憎む心の闇によるものだ…
己の心を以て,人を斬るな…己の闇に任せて,斬れ.
いや,己の闇にこそ人を斬らせるのだ…
それこそが,秘剣・闇斬らす!ゴフッ!」
「先生ーーーーーッ!」
馬之助の慟哭が満月の下,どこまでも響きわたる.
予想外のシリアスな結末にしてしまい,オチがつけられない筆者だった.
(了)
だんつな
だんつな 折々のうた
97/07/01 18:42
くらわんか 駄々こねる子に あんぎらす
安永年間の市井の俳人,伊藤文親(俳号は雨宋)の句である.
極めて素朴に情景を詠っただけの句であるのだが
現代となってはこの句も通じにくくなっているようだ.
以前,学生にこの句を見せ感想を求めたところ
「季語がないではないか」「あんぎらすとは何のことだと」などと
矢継ぎ早に質問され,苦笑したことがある.
「くらわんか」は夏の風物詩であるし,
「くらわんか」には「あん」がつきものではないか.
「くらわんか」とは,淀川の「食らわんか船」の俗称で本来は茶船とも呼ばれた.
江戸時代,淀川では過書船と呼ばれる三十石船など乗合船が重要な交通機関で
あった.これらの乗合船の乗客に対して酒や食物などを売る煮売船があった.
この煮売船が売り言葉として「酒くらわんか,あん餅くらわんか」などと呼号する
ところから,「くらわんか船」と呼ばれるようになったものである.
「くらわんか船」は水上の乗合船に次々と近づき,酒や商品を売っていくのだが
乗合船に素早く近づく操船には並ならぬ腕が必要であり,場合によっては大変
危険ですらある.
そこで,危険を避けるため,当時は「5品以下ではくらわんかを呼ぶべからず」
という定法があった.この定法に乗っ取り,乗客は多人数で注文をまとめてから,
乗合船の船頭を介して「くらわんか船」を呼ぶ.
それが淀川の夏の情景であった.
この定法を知らない子供が「あん餅が欲しい」と「くらわんか船」に
直接,注文してしまう.船頭を無視するという振る舞いは,当時重大なマナー
違反であったのだが,子供相手では「くらわんか船」の売り子もそれを咎める
わけにはいかない.
かといって,定法を破り,あん餅一個のために乗合船に近づくことは許されない.
そこで,「あん餅が欲しい」と駄々をこねる子に,売り子は
「あん餅の”あん”が切れてしまったので,タダの餅しかありませんよ」と
意味を込めて「あんぎらす」と通告し,子供の要求をかわしているのである.
あんころ餅の「あん」が目当てであった子供は,「あん」がないのでは,
駄々をこねる意味もなく,引き下がるしかない.
すなわち,この句は,夏の「くらわんか船」の情景を詠み込むと共に,売り子が
無知(イノセント)な子供の欲求をうまくかわしつつも,たしなめるといった,
当時の常民社会と【社会の子供達】の在り様を自然に織り込んでいるのである.
無知な子供に対して,怒るでも,無視するでもなく,子供の欲求を捉えつつも
うまくかわす,売り子のその洒脱な振る舞いには,常民の成人としての知恵を
垣間見る事が出来,その巧みさには憎らしさえ感ずる.
冒頭の無知な学生の言を聞いたとき,私はただ苦笑するだけであったが,
この「くらわんか船」の売り子であったら,どの様にかわし,たしなめてくれる
のだろうか.そんな無責任な想像さえこの句は芳醇なものとさせてくれる.
けだし佳句と言えよう.
だんつな
光デパート 買い物
97/07/01 21:52
買い物
○白昼 商店街の金物屋
男、商店街の金物屋の前で立ち止まる。目の前には網戸が。
男、網戸に貼り付いた宣伝用シールをじっと見る。
「快適!、丈夫!、丸山式網戸
蚊や不快な虫をストップ!
(防アンギラス効果、一回限り)」
男、網戸を買い求める。男、自宅へ。
○朝 男の部屋
男、寝床から起き上がるとTVをつける。
画面にニュースキャスター。
「アンギラス襲来、壊滅的被害」
男、網戸をあけ、廃虚となった街を呆然と見下ろす。
両隣の部屋を見ると、無残な焼け跡。男の部屋だけが無事。
○白昼 カー用品店
男、大通りのカー用品店の前で立ち止まる。目の前には
透明なシールが。
男、シールにぶら下がる宣伝札をじっと見る。
「快適!、丈夫!、丸山式ガラスシール!
有害な紫外線をシャットアウト!
(防アンギラス効果、一回限り)」
男、シールを買い求める。男、自宅へ戻り、車のフロント
ガラスにシールを貼る。
○昼 車の中
男、運転席でうたたね。男、はっと目覚めてあたりを
見回す。
あたりは一面の廃虚。燃えくすぶるビル達。男の車だけが
傷ひとつなく輝いている。
○白昼 繁華街
逃げ惑う人々。電飾ニュース「アンギラス来襲、落ち着いて
警察の指示に従ってください」
泣き叫ぶ子供、半狂乱の人々。
男、髪ふりみだして商店街の金物屋からでてくる。息せき
切ってカー用品店へ。
店内で商品をかき回す、騒々しい音。男、やつれた顔で店を
出てくる。
男、力なく街道沿いを歩き始める。逃げ惑う人々に、突き
飛ばされる男。
よろよろと立ち上がる男の目に、ショーウィンドウの乳母車が。
「安全!、快適!、丸山式乳母車!
赤ちゃんにやさしい、ティルトスプリング!
(防アンギラス効果あり、ただし以下の
コスチューム必須)」
男、乳母車の下に積まれた商品群に目を向ける。そこには
ファンデーション(防アンギラス効果)山高帽(防アンギラス効果)
チュチュ(防アンギラス効果)木靴(防アンギラス効果)アストロ
ノーススーツ(防アンギラス効果)千社札(防アンギラス効果)
なんしぃKIM 事件報道
97/07/03 01:45
N月N日
ニュース速報
本日午後八時、警視庁は「剣山頭乗せ魔事件」の犯人を逮捕と発表。
X月X日
新聞記事
道行く人の頭に突然剣山を置きざりにして立ち去ると言う、いわゆる
「剣山頭乗せ魔事件」の容疑者として東京都練馬区の会社員、長万部
三太郎(32)を逮捕した。この事件では頭に剣山を乗せられたのを気付
かないまま帰宅した千葉県の会社員がいきなり妻にヘッドバットを
カマせて全治3週間の怪我を負わせた他、痴呆症の老人が「毛がまた
生えた」と錯覚し、新宿のキャバクラに繰り出すといった被害が続出
しており、早期の解決が望まれていた。
X月X日
新聞記事
「犯人”アンギラス映画”マニア」
「剣山頭乗せ魔事件」の容疑者、長万部三太郎の部屋から大量のアンギラス
映画のビデオが発見されている事が警察関係者の証言で明かになった。アンギラス
は東宝怪獣映画に登場する背中に刺の生えた怪獣で、(写真 どう見てもモゲラ)
犯行の動機として「現実とアンギラスの区別がつかなくなったのではないか」
と指摘する声もある。
X月X日
「政府、アンギラス規制へ」
「剣山頭乗せ魔事件」の犯人がアンギラスに影響を受けたことを重く見た
与党自民党の片瀬江ノ島甚五郎総務会長は政府方針としてアンギラスの規制
に乗り出すことを示唆した。具体的にはアンギラス映画の青少年への貸出
規制、殻付きウニやクリ販売の許可制度、デーモン小暮のヘアスタイルの
変更、顔が二代目アンギラス激似の小池百合子議員への辞職勧告等が上げら
れている。
X月X日
小池百合子 談話
「私は平成メカゴジラに似てるといわれてことがあってもアンギラスに
似てると言われたことはありません。それをおっしゃるなら初代アンギラス
そっくりの小沢一郎議員はどうなるのでしょうか。」
X月X日
インターネットのE-Mail
アンギラスの極上ノーカットビデオ格安でお分けします!
X月X日
長万部三太郎の獄中日記
「俺はメガヌロンの方が好きだ」
GED00133 KIM
闇太郎 鬼太鼓ドド江の料理エッセー【旅情編】
97/07/03 10:32
伝えたい味、守りたい味 旅情編
料理研究家 鬼太鼓ドド江
「アンギラス餅」
山開き海開きの便りが聞かれるようになりました。旅行の計画をお立てに
なっている方も多いかと存じます。わたくしは、若い方のようにレジャー
ランドや歓楽街に出かけるのは、どうも旅行のような気がいたしません。忙しい
仕事の合間にたまに取れる休みを過ごすのは、昔から鎌倉と決めております。
変わらぬ静かな街並を散策する他に、もう一つの楽しみがアンギラス餅で
ございます。大通りから一筋入った所に、柴田屋という甘味処がござい
ます。お品書きの最後にあるアンギラス餅が、20年以上前からのわたくしの
ご贔屓でございます。
今日は特別にお店の中へおじゃまいたしまして、ご主人にお話を伺いながら
アンギラス餅をいただきました。
ご主人は冷蔵庫から角餅を取り出しました。一つ一つが全て同じ形に真空
パックされていて、その匠の技には驚かされるばかりです。
「こんなものをわざわざ食べに来る人も少なくなったね。」おっしゃる通り、
ケーキを買うために行列を作る若い方が、素晴らしい老舗の味をご存知ない
のは残念なことでございます。
角餅を網で焼き、醤油をつけて海苔ではさみます。醤油や海苔はスーパー
マーケットで買って来るとのこと。材料の見極めに長年の自信があればこその
お言葉と受けとめました。
最後に、アンギラス餅の名前の由来をお伺いしました。
「今は東京で働いてる息子が幼稚園生の頃にね、画用紙いっぱいに磯辺焼きの
絵を描いて、父ちゃん、これがアンギラスだよって教えてくれたんだよ。
子供の間じゃ磯辺焼きをそう呼ぶのかと感心してね、それで名付けたんだ。」
ほほえましいお話を伺った後いただくアンギラス餅は、本当に
おいしゅうございました。鎌倉の、このお店でないといただけないのが
残念でございます。
やゆよ 性愛3/5
97/07/05 19:02
「いいのかい」
「あっは〜ん、あっは〜ん」
「このへんかい」
「あっは〜ん」
「それとも、このへんかい」
「あっは〜ん、あっは〜ん」
「どんなふうに感じるのか、いってごらん」
「いやぁ〜ん、はずかしい」
「はずかしくないよ」
「あっあっ、あっあっ」
「はずかしい?」
「あっは〜ん、はずかしい」
「それならこうだ」
「あっは〜ん、あっは〜ん」
「大きな声で、いってごらん」
「あん〜、あん〜」
「全部っ」
「だって、はずかしい」
「こんどはこっち」
「あっは〜ん、あっは〜ん」
「じゃあ、言ってごらん」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「もう少し、もう少し」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「もうちょっと、もうちょっと」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「いいぞ、いいぞ」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「いいかんじだよ、いいかんじだよ」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「良すぎるぞ、良すぎるぞ、良すぎるぞ」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「もうだめだ、もうだめだ、もうだめだ」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ、あんぎぃっ」
「あんぎぃ? あんぎぃ? あんぎぃ?」
「あんぎぃ、あんぎぃ、あんぎぃ、あんぎっ、あんぎっ、あんぎっ、あんぎっ、
あんぎっ、あんぎあんぎあんぎあんぎあんぎあんぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……
あんぎっっ……あっ…………、あん」
彼はともかく、わたしとしては少し不満が残りましたが、あと20%はハネ
ムーンのときに、最後の20%は最初の子供ができたあとにとっておくのもい
いかなと、考え直しました。
汗ばんだ私の胸の上でいつのまにか眠りに落ちた彼に向かって、私はささや
きかけました。
「次は、『ら』をめざしてがんばってね」
黒 病気になった日に
97/07/06 14:08
「ここにほら、影が映ってますねえ。」
悠長な医者の言葉に私は一瞬殺意を覚えた。腹が痛いんだよっ!マジでっ!しかし
そんなセリフを口に出せるような状態と場所ではなかった。
「じゃっ、ちょちょっと取っちゃいましょうか。ベッドも空いてるし。」
医者はまるで「時間が出来たから先に昼飯食べようか」とでも言うようにそう言い、
カルテになにやら書き込んでいる。
(・・・・・・ANGIRUS・・・・?)
横文字の走り書きの、そこだけがちゃんと読めた。
麻酔は全身じゃないんでなにをされているか分かりますとは言われたけれど、半分位
は別に打たれた安定剤のせいで意識がはっきりしなかった。
「・・・・・・ですねえ、ほら・・・・」
「あっ本当だ・・・・・・だなあ・・・・うん」
「・・・・・・ドンに、脱皮・・・・・危なかった・・・・・・」
ほらみろ、けっこうじゅうびょうだったんじゃねえか。ああねむい・・・・・・・・
・・いま、なんて、いってたか・・・
手術は成功し、私は無事退院した。
例の影の正体は、なにやらキラキラ光る結晶のようだったと手術室の外でそれを見せ
られた家族が言っていた。割とありふれたものなのらしい。
それはいい、と私は思っている。それがなんであったとしてももう体内にはないのだ。
今一つだけ気になっているもの。医者が万が一の再発防止にと処方した薬。
空気に触れるとすぐ変色するからパックから出したらすぐ飲みなさいと言われた青い
半球形の錠剤。
リスクをおかしてまでこの錠剤の変色の仕方が「赤く点滅してやがて赤いままになる」
であるのかどうか、私は確かめるべきなのだろうか。
悩みながら、私は律儀に毎食後服薬を続けている。
黒HQF01407
やま 事故速報
97/07/06 23:45
平成9年7月4日
配布先:総務部、リスク対策本部
写)営業企画部
第一営業部 阿部(印)
事故速報
毎々お世話になります。
さて7/2にありました事故につきまして下記の通りご報告致します。
よろしくご査収のほどお願い申しあげます。
記
1.発生日時:平成9年7月2日(水)14:40
2.発生場所:千葉県市原市姉崎海岸1番地
3.遭遇者 :第一営業部 山崎、田中
4.事故状況:
第一営業部員山崎が営業車(2号車)にて千葉営業所より顧客工場へ向かった
際、信号待ちをしていた上記交差点で、海岸方面より歩行してきたアンギラスに
よって踏まれ、営業車を全損した。運転者山崎及び同乗していた田中は、車外に
避難していたため負傷なく、労災の適用は不要。
リスク対策本部通達0056号に基づき、関東方面での怪獣出現には充分注意
をするように営業部員に指導していたが、先週のツインテールに続き2回目の事
故となった。先日来の新聞等の報道によれば、臨海方面での怪獣の動きが活発化
しており、更なる注意の喚起が必要と思われる。
事故車処分に関わる費用は、明細を添付の上、営業企画部経由で経理課へ送付
済み。自動車保険の支払いには、いましばらく時間がかかる予定。
尚、弊課においてはこの1ヶ月で営業車を2台損失しており、早急に代替車を
配属して戴き度。
−以上−
添付資料:千葉県警による事故証明、事故費用明細(写)
警視庁配布「アンギラスの移動経路(7/2)」(参考)
97/07/06(日) やま
chakio はじめに(「分類学への招待」より)
皆さんは分類学という学問分野、そして分類学者にどんな印象をもってい
ますか?
分類学者とは、「これは一見ヘビイチゴに見えるが、果床が大きく表面の
色も濃い。従ってヤブヘビイチゴと分類するのが正しい」などと、どうでも
良いことに情熱を燃やしている偏執狂的人種と思われているかもしれません。
確かに分類学は地味な学問です。しかし「分類する」ことは対象を「知る」
ための第一歩なのです。
あなたがいつものように布団で(或いはベッドでもよろしい)熟睡している
と、轟音と共に部屋の天井が崩れ落ち、目の前に巨大な足が出現したとしま
しょう。はるか上の方からは「あんぎゃー」と耳をつんざく咆哮も聞こえま
す。
分類学の心得のない人ならば、何が出現したのか分かりません(ゴジラかシ
ーボーズか、はたまたエレキングか?)。ただ呆然とするばかりでしょう。
でも、もしあなたに分類学の知識があったとしたら……。
あなたは目の前に突如現れた足を一瞥し、「下肢第二指の爪がやや内向き
で、また皮膚に鈍い光がある。これはアンギラスに違いない」と正しく分類
が出来ます。
そして正しい分類は、正しい対処につながるのです(正しい対処の仕方につ
いては分類学の範疇を超えるのでここでは省略します)。
chakio(HGG03567)
やゆよ 桃太郎、冷泉家版を発見
97/07/07 19:49
国学院大学の内海幹男教授(国文学)らはこのほど、現存しないと言われて
いた『桃太郎』の冷泉家版を、足利学校の土蔵内部で発見したと発表した。
『桃太郎』には二条家版と冷泉家版の2種類があることがわかっているが、よ
り史実に近いとされる冷泉家版は室町時代後期には失われ、現在のアニメや絵
本はすべて二条家版の内容に沿っている。
最大の違いは、第三段落。二条家版で「おばあさんが川で洗濯をしていると、
向こうから大きな桃が、ドンブラコ、ドンブラコと流れて来ました」となって
いる部分が、冷泉家版では「おばあさんが川で洗濯をしていると、向こうから
大きな桃が、アンギラス、アンギラスと流れて来ました」になっている。この
ほかに違いはなかった。
内海教授は、桃は従来考えられていたよりもかなり速く、かつ複雑に移動し
ていたようだと指摘、誕生前の桃の激しい動きが大脳の形成に影響を与えた可
能性もあり、犯罪心理学の方向から桃太郎の鬼退治を解釈する必要もあるので
はないかと語っている。
今回の発見で日本人の桃太郎観が根底から覆されるのは確実。出版社やアニ
メ制作会社は対応に追われている。社団法人きびだんご連盟も、風味の調整に
向けた検討作業を開始した。
スナフキソ 日本の大家族
97/07/07 21:43
≪ 日本の大家族 〜アンギラス一家は大騒ぎ’97〜 ≫
大阪市東住吉区に住む、今年204歳を迎えた千代子さんはアンギラス家に嫁入
りしてから114年を迎えた。今も現役で子供を産みつづけ、押し入れや屋根裏に
卵がところ狭しとならんでいる。千代子さんは毎日スナックのママをやる傍ら
今までおよそ9250人の子供を育ててきた。大半の子供は仕事や結婚で家を出たが、
まだまだ手のかかる子供が約800人おり、毎朝弁当を作るだけでも大変な作業で
ある。ご主人の守さん(208)は昼はデパートの怪獣ショー、夜は個人タクシーを
して一家を支えている。
今日は五千三十二女裕香ちゃんの4歳の誕生日。直径25mのケーキにろうそくが
4本ならべられた。そのケーキをわんぱく盛りの三千七百三十男の勇太(5)が一口
パクリとやったからさあ大変。アンギラス家では「ケーキあるところに争いあり
」。裕香ちゃんと勇太の二人の壮絶なけんかが始まった。勇太が裕香ちゃんの脇
腹に噛み付き、裕香ちゃんも負けずに火を吐く。アンギラス家のけんかは男も女
も年の差も関係ない。生き残るために本気でやる。そうやって兄弟たちは強く成
長していき、競争に負けた弱い者は死んでいく。そこへ三千三百七十五男の悟
(15)がけんかを止めに入ったが、昨日大事なワンピースを勇太に燃やされてしま
った五千百八女の美紀子(3)が便乗してけんかに加わり、勇太にアンギラスビーム
を浴びせる。続いて兄思いの五千二百五女の佐知子が美紀子にアンギラスチョッ
プをのどに食らわせ、けんか好きの三千八百二十一男康太がアンギラスロケット
パンチを連射する。この調子でどんどんけんかが大きくなり、ふすまはやぶる、
畳は燃やす、壁は突き破る、屋根は吹き飛ばすはで、せっかくの誕生パーティー
がめちゃめちゃ。さすがにそこへおかあちゃんの千代子さんが飛んできて、けん
かをしていた約120人の子供のしっぽを次々に噛みちぎってやっとけんかはおさ
まった。そして、「ちぎれたしっぽはまた生えるけど、おまえたち兄弟の強い絆
はちぎれたりはせぇへんのや。」というおかあちゃんの愛情たっぷりの言葉にみ
んな涙した。
壊れた壁の向こうから、おかあちゃんが暖かい愛で包み込むように夕日が子供
たちを赤く照らしていた。
だんつな アンギラス率低減問題で採択難航
97/07/07 23:19
【ニューヨーク28日=壇 宗綱】
国際環境秘密総会が27日に採択した「アンギラス21のさらなる実行計画」の
策定をめぐり,最も激しい論議を呼んだのが先進国のアンギラス率低減問題で
あった.
アンギラス率とは,環境破壊により殺害された爬虫類の怨恨が蓄積し,
将来,巨大凶悪怪獣アンギラスとして出現する可能性を示したもの.
歴史的に爬虫類への虐待が顕著な欧州地域においては,アンギラス率が
慢性的に高く,爬虫類へ『情熱的な愛』を注ぐ等の具体的な対応策の実施による
アンギラス率低減が環境問題上の急務であった.
欧州連合(EU)側は「アンギラスの出現が不明確な現状で,数値目標の
決定はむしろ危険」と従来の主張を繰り返しているが,
議長国をはじめとする途上国側も
「欧州ではすでに,ドラゴンもサラマンダーもバシリスクも絶滅しており
爬虫類側が『ひどい恨み』を持っていることは明白.
いつアンギラスが出現してもおかしくない状態にある.
壊滅的状態の回避のために早期の数値目標の設定を」と強硬に対立.
前総会においては,両者の調停に回っていた日本の代表団も,28日の本会議を前に
「恨みが『ひどい』という認識には同意できない,行き過ぎた表現ではないか」
と拒否する姿勢を示し,対立の構図はより深刻なものへと変化した.
日本代表団の態度の変化について,識者は
「日本もエリマキトカゲを捨てた過去があり,爬虫類側に対し負い目がある
今回の反発もその様な国民感情を汲んだものでは」
と指摘している.
だんつな
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