「TRUTH ON TEMPORAL JAPAN」 CHAP.3




 秘密結社タイイクカイケーの活動は、コーヤレンの活動を全てのスポーツに拡大し たものだ。上下関係への盲目的服従、前近代的精神主義への洗脳。タイイクカイケー の暗躍により、日本のスポーツマンシップは瀕死の状態にある。
 タイイクカイケーは大学を活動基盤とし、大学における全てのスポーツ活動に浸透 している。また、タイイクカイケーは一流企業の人事部に潜入し、タイイクカイケー 隊員を深く社会に展開しようと企んでいる。
 その目的は、日本軍国主義の再興にある。


 いまやタイイクカイケーはスポーツのみならず、文化的活動まで浸食しつつある。 かつて大学の文化系サークルは日本リベラル主義の本拠地であったが、ここにもタイ イクカイケーの魔の手が延びているのだ。
 タイイクカイケーの巣窟として知られるTK大学。ここでは、文化系サークルのほ とんどがタイイクカイケーの傘下に吸収されている。
 軽音楽部を例に、タイイクカイケーの実体を探ってみよう。


 TK大学理工学部1年のA君(18)は、ロックスターを夢見る青年であった。
 長い受験勉強の試練を乗り越えTK大学に入学したA君は、早速バンド活動を始め ようと軽音楽部に入部した。
 「最初は軽い気持ちで入ったんです」A君は語る。「まさか、あんなところだとは 夢にも・・・・」。軽音楽部は、タイイクカイケーロックバンドのメッカだったので ある。

 A君の一日は、朝4時の起床に始まる。5時には部室に辿り着き、授業が始まるま での3時間半、他の新入部員とともに先輩の楽器を磨かなければならない。
 金属磨きピカールでトレモロ・アームを輝かせ、KURE556でドラムスティックの 先端まで磨き上げる。サビのひとつ、くもりの一つでも残すと、先輩ロッカーの厳し いシゴキが待っているのだ。
 入部当初要領を得なかったA君は先輩ロッカーのシゴキの常連だった。ベースのボ ディにつやがないといわれてはアリス・クーパーのように大蛇をまきつけて校内を歩 かされ、キーボードの隙間に埃が溜まっているといわれてはエルトン・ジョンのよう に羽飾りのついた眼鏡をかけて登下校しなければならなかった。
 軽音楽部の練習は午後4時から始まる。新入生は3時半には道場(ここでは練習ス タジオを道場と呼ぶ)に集合し、整列して先輩ロッカーを迎える準備をする。「押忍 !」「押忍!」4時になると新入生は後ろ手を組み、頭を下げて先輩を迎える。
 4時から7時までは先輩ロッカーの練習時間である。この間A君をはじめとする新 入部員は直立不動のまま先輩の演奏に聞き入る。よそ見やアクビをしようものなら、 ピックやバスドラムが容赦無く降り注ぐ。
 7時半からようやく新入生の練習が始まる。ロックは形から、というのがタイイク カイケーロックバンドの思想だ。TK大軽音楽部では「素振り1年、チューニング1 年」を合言葉に、新入生は徹底して素振り練習をたたき込まれる。実際に音を出すの は2年生から。1年生の内は、竹で作った「竹光ドラム」「竹光ギター」等で、ひた すらロッカーの形態をまねるだけだ。
 A君の所属するギターパートの素振りが始まった。
 「クラプトン100回、始めっ!!」コーチ役の先輩が叫ぶ。
 「押忍っ!!」
 A君をはじめとする新入生たちが、音の出ない竹光を手にエリック・クラプトンの 真似をする。ピックを持つことは許されない。次第に、指に血が滲む。
 「ジミヘン100回、始めっ!!」
 「押忍っ!!」
歯茎に血が滲む。
 夜9時に練習が終わり、道場の掃除を済ませて帰るのは夜10時頃になる。
 明日はまた4時に起きなくてはならない。
 だが、平日の練習はまだ楽なほうだ。
 夏休みになると軽音楽部の合宿がある。伊豆山中での、グラインド奏法をしながら の20kmマラソン。指に鉄アレイをつけての、キーボード早打ち訓練。
 やがてA君は、そういった過酷な生活に麻痺し、疑問を感じなくなっていく。そし て、大学を卒業するころには身も心もタイイクカイケーに染まってしまうのだ。


 TK大学では、父母を中心としてタイイクカイケーの横暴を摘発する動きがある。
タイイクカイケーSF研究会に入会し、1週間でハヤカワ文庫を全冊読破するよう強 制され、ノイローゼになった者。タイイクカイケーHOゲージ研究会に入会し、1ヵ 月間不眠不休で信号を作らされた者。心身を極限状態に追い込み、洗脳するタイイク カイケーのテクノロジー。愛する子供をタイイクカイケーによって奪われた父母の怒 りは深いが、大学側にこの事態を改善する姿勢は見られない。
 なぜなら、タイイクカイケーの背後には日本最大の極右勢力、モンブショーが控え ているからだ。

 日本に今、軍靴の響きが近づきつつある。

 それは、あからさまな政治・軍事的活動として表面化することはない。スポーツあ るいは文化的活動という形で深く進行する軍国主義の浸透。事態は、さらに深刻だ。
今回のリポートは、日本のこのような現状に警鐘をならすものである。
                              H.DEPARTMENT
Trues On Temporal Japan TOPに戻る