我々にとって、もはや日本はエキゾチックで神秘的な東洋の島国−ゲイシャ・ガール、 スモウレスラー、ニンジャが闊歩するサムライの国−ではありません。今アメリカに おいて最もポピュラーな日本イメージは、ホンダであり、ソニーであり、優秀な工業 製品を安価に、効率よく生産する先進国のイメージです。その反面、画一的、没個性的な 文化、貧弱な家庭生活など、日本社会の否定的な部分について喧伝される機会もまた、 増加していますが。
今やアメリカ人にとって、日本という国あるいは日本人は、異質で理解不可能な何か ではありません。マスコミ等のメディアを通じ、一般市民の日本に対する新しいイメージ は着実に形成されつつあります。
しかし、私はこの点に危惧を感じます。
私たちは本当に、”今の”日本について正しい知識を得ているのでしょうか?
他の先進国の例に漏れず、日本もまた変化の激しい社会です。私たちが日本に対し
て抱いているイメージは、もはや過去の日本のそれなのではないでしょうか?
例えば、我々は日本に対し次のようなイメージを抱きがちです。
1.日本の治安レベルは先進国中最も高い。2.日本人は一般に宗教を好まない。
3.日本人は常に平和指向であり、戦争あるいは軍隊に対し嫌悪感に近い感情を持っている。
結論からいうと、日本に対する上記のようなイメージは、もはや過去の遺物となろ うとしています。
私が日本の各地を歩き、知り、感じたとこは、日本の治安の急速な悪化であり、狂 信的な宗教団体の暗躍であり、軍国主義の復活であったのです。
日本には、「KYOSIN TANKAI」虚心坦懐という言葉があります。心を無にして、あ
らゆる先入観を捨て、事実をありのままに受け入れる姿勢です。私は、私自身がそう
努めたように、読者にも「KYOSIN TANKAI」MINDをもってこれからのレポートを
ご覧になることを求めます。
なぜなら私は、この姿勢こそが正しい国際理解を生むと信じる者だからです。
日本では、オーサカに対する慣用的な言い回しがある。即ち
国際的に優れているとされている日本の治安システムの中で、その欠陥が最も端的 に露呈しているのが、カンサイエリア、とりわけオーサカであると言われている。オーサカには、2種類の人間しかいない
ヤクザと、そうでない人である
日本の事情に詳しい読者のなかには、治安が悪いといってもそれは日本の他の都市 に比べて、の話であって、例えばN.Y.のブロンクスのように白昼堂々と麻薬が密 売されたり、強盗や殺人、レイプが頻発するわけではなかろうと考える人もいるだろう。
私もそのように考えていた。
ドートンボリの惨状をこの目で目撃するまでは。
オーサカ/ドートンボリ。川沿いに沿って軒を連ねる商店、覇を競うネオン、看板 の派手さは、日本的なワビ・サビとは程遠く、むしろHONGKONGのように猥雑 でエネルギッシュだ。
この町では、とにかく目立つことが生き残る条件らしい。
エビスBRIDGEの脇では体操服姿の男性がバンザイをする、原色鮮やかなネオ ンサインが目立つ。両手を挙げる日本に特有の儀礼「バンザイ」は、第2次世界大戦 中タイクーンヒロヒトを礼賛する目的で老人、子供にまで強制された悪夢の儀式だ。 戦後日本は象徴天皇制へと移行したが、天皇主権国家への復帰をもくろむ極右勢力は 根強い。民主主義、自由主義を否定する極右勢力は、「バンザイ」マークを大ネオン として掲げ、あるいは菓子箱にプリントし、国民を洗脳しようと企んでいるのだ。
ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は、日本で成功したアメリカ外食産業 の代表例である。ここドートンボリのKFCも若い人で賑わっているが、他のKFC チェーン店には見られぬ奇妙な風習が横行している。
KFCの創立者にしてシンボルでもあるカーネル・サンダースの人形に、不気味な 装飾が施されているのだ。
黄色と黒のハッピ。黄色と黒の帽子。黄色と黒の扇子。そこかしこに描かれる、凶 暴な虎のマーク。これらは、カンサイエリアを中心として勢力を広げる狂信的宗教団 体、「モウコカイ」のシンボルカラーおよびシンボルマークだ。
なぜカーネル・サンダースがモウコカイのシンボルに埋め尽くされるのか。その答 えを知るためには、数年前のドートンボリガワ事件にまで遡らねばならない。
その年、ハレー彗星の大接近など不吉な予兆が相次ぎ、人心は大いに乱れた。とく にカンサイエリアでは、ヤクザ間の抗争、食品への青酸カリ混入事件など、末世を予 感させる凶悪事件が相次いだ。
このようなとき、人はえてして神に頼るもの。モウコカイは人心の乱れに乗じ、着々と 勢力を広げていった。
モウコカイの勢力が最高潮に達したこの年の秋、ドートンボリは「トラキチ」と呼ばれる狂信的信者たちに占拠され、一帯は無法地帯と化した。その中に運悪くい合わ せた初老の白人紳士。恰幅のよい紳士は運悪くモウコカイの司祭バアスに姿が似 ていた。トラキチたちはこれを司祭バアスに対する不敬行為として、紳士に対し モウコカイへの入信儀式・・彼らにとっての聖なる川、ドートンボリガワでの沐浴と 洗礼を強要したのである。
モウコカイの秘儀、ドートンボリガワジャンプは、沐浴と称するにはあまりに危険な 行為だ。洗脳によって平常な感覚を消失したトラキチのみがなしうる、狂気の儀式。 初老の紳士にとってそれは、死へとむかう階段以外のなにものでもなかった。
そして世に言う「ドートンボリガワ事件」の悲劇は起こった。その後、ドートンボリガワ から紳士の死体が引き揚げられることはなかったという。
これが、法治国家日本の裏の素顔である。イスラム原理主義者もかくやと思うほど
の、狂信的宗教団体の暗躍。かくして、カーネル・サンダースはやむなく悪趣味な衣
装をまとい、モウコカイへの帰依を表明したのである。
ここで最もポピュラーな麻薬は「タコヤキ」である。
英訳すると、「BURNED DEVIL FISH」となる。何という禍々しい 名前であろうか。
オーサカの犯罪の80%に、「タコヤキ」が何らかの形で関与しているといわれる。
「タコヤキ」を買う金ほしさに少年達は犯罪にはしり、少女達は売春婦に身をやつす。
私は、タコヤキ取引の実体をつかむべく、ドートンボリへと潜入した。
ドートンボリの一角に、裏世界では有名なタコヤキ取引のメッカがある。「オオダ
コ」とよばれるシンジゲートが、この一帯に縄張りをはっているのだ。
私がこの一角を訪れたのは真昼過ぎであった。白昼から堂々と、しかも大人数に対 しタコヤキ取引が行われている。その様をまのあたりにし、私は背筋に寒いものが走っ た。
タコヤキ売人はあたりに鋭い視線をなげかけつつ、手際よくタコヤキを製造してい る。タコヤキ中毒者たちは列をなし、製造されたタコヤキをかたっぱしから買い漁る。 列のなかには、年端のいかぬ子供までいる。彼らの目は、一様にうつろだ。
タコヤキを手にいれた中毒者たちは、禁断症状に耐えかねたのか、すぐ近くの橋の 欄干で早速タコヤキを摂取する。緊張に震えていた彼らの顔は、タコヤキを摂取した とたん恍惚の表情へと変わる。恐るべきタコヤキの魔力だ。
私は意を決し、タコヤキ売人への接触を試みようとした。中毒者を装い、タコヤキ を求める列の最後尾に並ぶ。
日本の友人である光デパートに、カンサイにおけるコミュニケーションの基本は以 下のようなものであると教えられていた。
1.言葉ははっきり、大きく、テンポよく発すること。いよいよ私が購入する番が巡ってきた。2.決して標準語で話してはならない。その土地の方言で話すこと。
私はまず、タコヤキの値段を聞くことにした。HOW MATCH IS THIS? オーサカ弁に 訳すと、「なんぼのもんじゃ、われ」となる。
私は大きく息を吸い込み、売人に向かって叫んだ。
「なんぼのもんじゃああああああ!!われぇええええええええ!!」
一瞬、売人の顔が強張った。あたりの客もどよめく。私が中毒者でないことが、ば れたのであろうか!しかしここでうろたえていては、更に相手に不信感を与えること になりかねない。私は平静を装った。
ところが、そこで信じられないことが起こった。
警察官が駆けつけ、売人を捕まえるどころか、私に尋問をし始めたのだ!!
オーサカ府警は、シンジゲートに買収されていたのである。身に危険を感じた私は、
警察官の制止を振り切り逃亡した。巨大な蟹の看板が、あざけ笑うかのように足をバ
タつかせていた。
以上が、今回のリポートである。
日本を浸食する極右勢力、狂信的宗教団体、そして麻薬。日本の治安システムも、 今曲がり角にきている。
次回は、台頭する軍国主義についてレポートしよう。
H.DEPARTMENT
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